


著:中原淳
発行:一般社団法人よだか総合研究所 出版部
判型:A5判
頁数:280ページ
発行年月日 :2022年2月
自己責任化される全ての人へ
これは予め書き残された同情である
君と同じように、僕も辺境に留まる
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老荘、ルソー、ソロー、トルストイ、石川三四郎など、大地に根付く否定の思想を基礎として、イリイチ、フロム、オルテガ、サイード、ブルデューの議論を踏まえつつ、ベイトソンの生態学やオートポイエーシスを想像しながら、打ち捨てられた辺境で、のんびりとした相互扶助(クロポトキン、 プルードン、 グレーバー)や無縁、アジールを希望するための論考集。(よだか総研WEBより)
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2014年頃から謳われるようになった国家主導の「地方創生」。筆者はデザイナーとして過疎の中山間地域に住む少なくない人の困難を緩和した。しかし、ある権力者の「ちゃんと考えて努力している自治体は、生き残る。そうじゃない所が消えてしまうのは、自己責任」という言葉に疑問を抱き、自身の成功体験にも同じく疑問を持ち始める。
なにかしら問題が発生したとき、いわゆるお上が言う「自己責任」。他人に自己責任を問う人々の認識への興味と、筆者自身も相手に自己責任を納得させる認識上の暴力を駆使することができた立場であったという気づき。そこからはじまった論考と読書の生活の中で生まれた文章は、「自己責任」が何かを誰かを切り捨てる理由として機能しているこの社会で生きていくことを共に怒り、悩み、考えてくれるだろう。
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いい大学を出てメディア・アート業界で働いて、IAMASをぼくより10年ほど早く卒業した中原さん。IAMASのある岐阜県大垣市からほど近い山中で、仙人、あるいは世捨て人のように論考しながら暮らしています。ぼくより10年先に理想を持って地域に乗り込み、地域の現実に打ちのめされ、どうにもならない状況を嘆きながらも、周りの人たちとよりよく生きる道を模索して進む。本当の豊かさとは何か、いかに資本と距離を置いて暮らすか。こう書くとありふれた議論のようにも見えますが、中原さんは各種の思想をかなり深くまで潜っています。その姿は、孤独にストイックに理想を求めて生きる誰かの、あなたの日々の糧になるかもしれません。完全な模索の思想書なので、読み手は選ぶと思いますが、書いている内容全部は肯定できなくても、こういうことを考えている方がいるということで励みになることはかなりあると思います。(さの)
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